コンテンツへスキップ

NOT ENOUGH

錦織君惜しかったですね。この年齢に来て全盛期を思わせるプレーを日本の皆さんに見せる事ができたのは素晴らしい。これ以上期待することは酷でしょうが、是非次の若手が出てくるまで頑張って欲しいです。

久しぶりに本業のテニスコーチのはずなコラム。
あのなんとも言えない独特のテニスの感覚… こういったものは親やコーチが教えることはできませんが、全員がそれぞれ持って生まれてきている固有の感覚… を潰してしまうようなことは避けなければなりません。
世間一般の理論や指導者の理論だ先に来てしまうと、知らず知らずのうちに子供の個性を殺してしまいます。
人と違うから… 運動生理学的に… などという指導からは逸材は出てきませんね。

しかし、関東に住むようになり、ビックリするのがほとんど全ての保護者も子供も「関東ジュニア」とか「全国」とか、はたまた「グレード大会」とか、地方ででっかい夢を持って頑張っているテニス関係者とは全く違う小さな… 失礼、現実的な目標を持って日々過ごしていることで、確かに、「それ」が目標であれば、それなりの「型」にはめ、制御しながら練習、試合に出続けて日々ポイントを稼ぐのが良いかもしれません。

ずいぶんおかしな話ですが、実は田舎の選手の方がでっかい夢を持ってそれを目指しているわけで、それは世界中でも同じこと。なのでセルビアやチェコ、デンマーク、ポーランド、などからもゾロゾロと良い選手が出現します。
日本という世界基準では極東の小さな国から本気で世界を目指そうとするのであれば、一人一人の子供の個性を引き出す以外に方法はないでしょう。

しかし、正直なところ、本気で世界を目指すために ITF ジュニアを周ろう、という頃には、既に手遅れな選手がほとんどの場合が多い。残念ながら。
年齢的にはつまり13歳以上ということになりますが、日本国内では素晴らしいパワー、コントロール、テクニック、ミスの少なさ、メンタルの強さ、などで圧倒的に勝っているように見えても、ITFジュニアのトップ選手の中ではなかなか通用しなかったり、ITF、グランドスラムジュニアなどでは活躍しても、ATP、WTAの本物のプロ大会では勝ち続けられず、本当の意味での「プロ」としては通用しない場合が多い。

例えば最近、日本トップジュニア選手と当たった外国選手のコーチの話。もちろん随分親しいので遠慮なしですが、「彼(彼女)には何もないよね。」
つまり、日本基準で培ってきたスピード、パワー、テクニック、メンタリティーなどが国内選手には圧倒的でも、世界へ出てみれば普通であり、素晴らしいフォアハンドだったはずが相手から見れば普通のニュートラルラリーだったりするわけで、つまりはポイントを奪うべき策がない。相手の凡ミス以外にポイントは取れないということ。
日本人が体格差以上のサーブが悪いことは有名ですが、それ以外でもキビいしい現実。

ミスが少なく一通り上手い、というのもアジア人選手の特徴で、それは正解だと思いますが、NOT ENOUGH ということでしょう。
「何か」、それを幼少期から伸ばす必要があるということでしょうね。

錦織君は小学5年生?から見ていますが、特別に強かったわけでもなく、しかし独特の空間、間が特徴で、負けても面白いのでまた見てみたい、と思える子供でした。
逆に、圭にあっさり簡単に勝つ同級生は素晴らしく日本国内成功型で、世界では全く通用しなかった。
彼からそういったことを日本の指導者は学ばなけれなならないでしょう。

はっきりと言葉では言い表せないもの… 、目には見えないもの… 、禅の世界ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください