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与うる

与うるは授かるにまさる… などと宗教書にはあるようですが、実際、いろいろなイベントを行なっていると意味はよくわかります。
もちろん、世の保護者の皆さんも子供たちのためにさまざまなもの、特に時間やお金などを与えておられると思いますが、我々の行なっているようなボランティア活動は全く赤の他人の子供達のために自分の体や時間を与えているわけで、長年この活動に従事してくださっているスタッフの皆さんは本当に素晴らしい方々であるし、別に褒められるために行動しているわけでもない自然な境地も見事でしょう。
今回はうちのアカデミージュニアもお手伝いしましたが、なんだか照れ臭いところが可愛いもんですね。

寒い寒い日が続いた3月でしたが、ようやく春の足音がしてきた桜の季節。日本の皆さんは学年が変わって全国大会につながる試合も始まって大変な時かな。
さてお待ちかね前回の続き。

世界を見てみるとテニスという競技はそもそもイギリス発祥の上流階級娯楽で、主に先進国、文化国家に根付いているわけですが、相当に経済力は衰えているとはいえ日本はアメリカ、ドイツなどのトップグループに入るほどのテニス人口を持っており、これに影響力の及ぶソフトテニス、バドミントンなどを考えると、「やる」スポーツとして日本で1位。「見る」スポーツとしてはWOWOW頼みですが、とにかく、世界でもテニス大国といえる人口、巨大マーケットを持っているといえます。
特に日本人は服や道具にお金をかけるので大きな市場が小さな島国に開かれているようなもので、チーム、学校は全員服を揃える、ラケットは古くなったらすぐ変える、ガットはすぐに張り替える、ジュニアでもたくさんラケット揃える、みたいな文化もあり、各メーカーは鎬を削って気合いのビジネス展開。そしてノアのように全国展開テニススクールでビッグビジネス。ジュニアではそれ専門でコーチが職業成り立つほどに潤っており、他のどのスポーツよりも身近にお金を稼げるスポーツであることは間違いありません。
例えは知り合いの水泳オリンピック選手でも時給1000円でバイトして普通に企業に就職するしかないわけですよ。期待の日本ジュニアに大きな資金が集まっているのも、日本の、そして影響力のあるアジアの巨大テニス市場があるからですね。

そしてそれだけのテニス経済基盤がありながら、世界で活躍する選手があまりに少ないし、日本国内で世界レベル育成実績がある指導者、施設がない、という事実がある。そう書く我々とて前回書いたように何の世界的実績のない三流コーチであるわけで、偉そうなことを書ける立場ではない。

では今からそういったことを打破し、超現実的に世界トップへチャレンジするとすると国内に参考にするべき施設、指導、プロジェクトなど見当たるはずもなく、じゃあ結局アメリカ?、IMG?、フランス?、と考えても、よくよく過去の実績、確率を考えればそんなところに大金を払ったところで成功する確率はあまりに低い。当然マネージメント会社もスポンサーもそんなことはわかっているので絶対に行かせない。

では何が、どこが、誰がそういった素晴らしい実績を持ち、高い確率で世界トップ選手を育成するサポートをしてくれるのか。それを探し出すのが親や育成に携わるコーチなどで、それまでの経験、無駄のように見えた経験もあるかもしれませんが、それを活かして見つけるのですが、我々の場合、というか40年以上ジュニア育成に関わってきた松島の経験からして、ようやく使う時が来たか、ということ。
長年ここを見てくださっている方々はお分かりのはず。チェコです。

長きにわたって世界トップレベルの選手を輩出している国、特に自国でしっかり育成された選手が活躍している国、どこでしょうか?。もちろん書いたように経済大国、先進国が有利に決まっていますが、男子であればスペインなどヨーロッパ。もちろん今はイマイチですがアメリカも強い。では女子は、もちろん東欧です。
ロシア選手はもちろん最強に強いですが、ほとんどの選手が外国に暮らし、国籍、もしくはDNAがロシアという場合が多いわけで、チェコ選手とはかなり違う。
これを書いている現在、シングルスWTA50位の中にチェコ選手は8名。グランドスラムへ行けば男女20名以上の選手が出場しているのは普通なわけで、古くはナブラチロワ、レンドル、マンドリコワ、ノボトナ、コルダなどから近年ではクビトバ、クレイチコバ、ボンドロウソバなど、グランドスラム優勝は当然。非常に地味ながらも絶対的、圧倒的な成績を出しているのがチェコ共和国のテニスなんですね。

しかも、人口1000万人。主な産業もなく、歴史上周辺の国々から次々と支配され続けた悲しい歴史を持ち、経済大国でもない。当然選手に企業スポンサーもない。テニス人口があまりに少ないためATP、WTAトップ選手でもウエアー、ラケットメーカーからお金も出ない。つまり、賞金だけで選手は活動するわけで、当然それが強い秘訣でもあるでしょうけど。

つづく

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