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世界トップ育成システム

tour 65 ITF フィジー遠征も無事帰国。高温多湿なアジア遠征は欧米とは全く違う厳しい環境。しかし選手層は世界の中で当然薄く、勝ちやすい、ポイントを取りやすいというありがたい舞台であり、しかし落とし穴はATP、WTA、ITF全部、アジアで取ったポイントで世界ランキング上げても世界基準になると厳しいので、結局大きな舞台へ行くとある程度までしか勝てない。
つまりは世界200、300番まで行く日本のプロ(?)が多いのはそういうことで、日本国内に大会をたくさん作れば… という策は「そのレベルの選手」を多数作ることには適していますが、世界トップ選手を出す策としては無策。国内一流企業がスポンサーしてジュニアプロジェクトを行われていますが、結局、世界トップの舞台にジュニア選手、コーチを運び、そこで戦い続けるしか本当に強くなる道はありませんね。

グランドスラムを狙うにしろ、ITFジュニアで頑張ってグランドスラムジュニア、アメリカの大学、日本の大学など狙うにしろ、到達年齢のレベルから逆算して試合選び、練習内容、そして予算編成などを考えて長期、中期、短期の計画を練りましょう。

毎度書いているように、記念に海外の大会に出場されるのであれば何も問題なし。
ただし、自分の将来、子供の将来に夢を持たない人はいないでしょう。できれば上を… 上を目指したいのが普通ですからね。やはりちゃんと計画を練ったほうが良いですね。

とにかく、ITFジュニアでもATPでもWTAでも、上位へ行くには世界中を旅する必要があり、勝ち続けることだけではなくお金が年間1000万単位でかかります。ありがたくも読者の方々は日本以外にお住まいの方も多くいらっしゃいますが、日本的に言えば日本は遠い僻地にあるのでかかる費用は欧米選手よりもはるかに多い。
それをご家庭が出すか、どこかがスポンサーが出すか、それができなければ無理な話であり、前回書いたように、本当にその子、その選手がそこまでしてプロ選手を目指すべきなのか、これをしっかりと判断するべきだと思いますよ。

スポンサーの皆さんがこれを見ているかどうかは疑問ですが、せっかく投資したお金が有効に大きな威力を持ち、その力で素晴らしい選手が育成されグランドスラムへ行くには、世界トップの経験と知識とコネがあるキーマンを責任者にするかどうかです。ビジネスと同じですね。

さてようやくチェコの話。地理の話が出ましたが、チェコ共和国はヨーロッパのほぼ中央にあり、特に女子プロテニス競技ではロシアと共に世界の中心にあります。よって、実は一度も飛行機に乗ることなくグランドスラムレベルになることができるという日本人から見れば恐ろしい環境。ジュニア大会もITFもプロ大会も車で移動してどんどんレベルを上げることができるわけですからね。お金もかかりません。
もちろん、よってこれも書いたように過去の歴史に振り返ればあらゆる大国から支配されてきた「通り道」的小国であり、これも極東島国の日本とは正反対の環境であることは確か。まあそれによって厳しい競争意識が生まれ、色々な力を持ってきたのがヨーロッパ各国の歴史でもあるのでしょうが。

まずはチェコのテニス環境から。もちろんテニス協会はありますが、完全に事務局。協会が選手を強化しようとしたりすることはありません。30年前のテニスマガジンに事務局責任者ブラジミール・サファリック(なぜか完全に記憶!、うちのジュニアの名前は忘れるのに…)のインタビューを掲載しましたが、国からの予算を扱うのが協会で、他に営業部が国内外多くのスポンサーを獲得し、その予算の50%以上をジュニア育成に充てていることが特徴。
どこかの国のようにジュニアからエントリー費やワンコイン!?などの名目で多額のお金を吸い上げ、協会の無駄な人件費や運営費に充てていること自体、そもそも税金で民衆のために働いているのか自分の給料のために働いているのか不明な状態で「国」という単位ですごい選手を育成できるはずはなし。

ではチェコのプロテニス、ジュニア育成の根本、基礎を作っているのは何か?。クラブです。
日本の方々はサッカーに似ていると言えばわかりやすいかな。地方自治体が最大のスポンサーであり、大きなクラブ組織になってその地域から素晴らしい選手を生み出す、というのが基本。もちろん、お金はないので施設はボロいですが、グランドスラムで活躍した選手、コーチ、トレーナーなどが集結し、やる気と才能さえあれば全て無償で最高の育成をします。
選手はクラブと契約し、全くの無償でグランドスラムまで育成してもらえる代わりにある程度の年齢まで賞金の一部をクラブに納めます。
指導は全てマンツーマン… というかメインコーチとヒッティングコーチという2対1で、遠征にも行くので相当のお金がかかりますが、育った選手はウインブルドン優勝をはじめ、世界トップ選手ばかりなのでリターンは大きく、クラブは莫大な利益を生み出し、これを数十年繰り返しています。

つづく

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