彼女を最初に見たのは確か12歳のヨーロッパ。ちっちゃなアジアの女の子がしわくちゃのシャツを着て強い選手をバッタバッタと薙ぎ倒し、とにかく強かった。ワールドジュニア、14歳以下国別対抗戦では台湾をベスト4に導きました。(国歌、国旗はどうする?… ともめたことは書きました)
14歳くらいでITFジュニアもトップ。名古屋で行われたジャパンオープンジュニアでは売出し中のシャラポワに勝ち、その才能は誰しも明らかながらしわくちゃのシャツは変わらない… という風貌。
ご存知の方も多いと思いますが、台湾のスポーツっておよそ日本の30年前のやり方で、ほぼ暴力的指導が多く、彼女もそうやってお父さんから指導を受けてきたわけですが、やはり物心つくようになって決別。日本に避難。
その頃からテニスはさっぱりになったわけで、日本にいた時期はテニスはお休み状態だったわけですが、その後じわりじわりと復活し、下部大会から徐々に上がり、35でここまで。
すごいと言えばすごいんですが、彼女を昔から知っている人間から言えば、12歳からちゃんとやってればねえ… グランドスラムくらい何回も優勝していたでしょうに…。ということでしょう。… しかし、兵役があるとは言え、台湾の選手はこの親子の問題多いですねえ。難しい。
スーウェイの兄妹3人、全員両サイド両手打ち。父さんの指導。天才的な感覚から言えば、フォアが片手でも変わりはないでしょうから、両手のメリットはありませんが、非常に無駄のない動きであり、どんなすごいボールが打てるのか?、ではなく、「どこに何が飛んできるのかわからない」という巧さ、感覚が非力なアジア選手にとって重要か考えさせられますね。
テニスメーカーの契約がないことも話題になっていましたが、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツ、などの経済豊かな国が特別なだけで、他国の選手なんて契約ないのなんて当たり前です。チェコ、クロアチアのなどの親しい国々の選手の18歳世界トップ30位の選手だってお金なんてもらえないし、ウエアー、シューズだって買ってます。
だってそうですよね。物事は経済で動いているわけで、その選手にラケット年間10本、ウエアーなど、総額100万円の物を提供したとすると、その手間、人件費などを考えると200万円のお金を投資したことになるでしょうが、その200万円、どこで回収するのでしょうか?。
フェデラーなら10億払っても世界中で人気ですからそれ以上回収できるでしょうが、実は世界5位でも、なんなら2位でも回収できない場合もある。
その選手が活躍して売れるのはもちろん母国。テニスが盛んで豊かな国(特に日本はバンバン買う国)の選手に投資するのはメーカーもウェルカムでしょうが、そうでない国には難しいということですよね。フェデラー、ナダルレベルになると世界中どこでも通用するんでしょうけど。
ナイキがあそこまでなおみちゃんを推しているのも、それくらいの影響力を持っている、つまりは費用対効果として成り立っていると判断したからこそであり、その大博打に成功しようとしています。
… ちなみに、アディダスは全く無名の時になおみちゃんと契約したので、グランドスラム優勝2回の価値をほぼ無償でも勝ち取った大手柄を上げたわけですわ。担当者の目利きの素晴らしさですね。
日本という国は特別で、ジュニアや国内プロでもすぐ契約。ま、その分コーチが頑張って売ってくれているんでしょうけど、経済の原理を勉強し、勘違いしないようにしましょうね。
もう一花くらい欲しいかな。スーウェイ頑張ってください。
… そう言えば、前回の東レパンパシフィック時には彼女にパスもらったんでした。ありがとう。